001/05/06 (日)
自らの異常を認識せよ
大量の、自立とは無関係の、資本の理論に踊らされる女性たちを作ってしまった。身を得る少女が恥らうこともなく闊歩する社会、恥じることもなく買う男たちをも許す社会を作ってしまった。
私たちがまず知るべきは、こんな社会は本当に異常だということだ。世界広しといえども、他国ではこんな現象はない。島国日本は、海にさえぎられて外の世界の正常を見ることが出来ない。相対化させて自らの異常を認識できない。だが、自らを相対化し、客観視すること無しには、男女共に自己責任など果たせはしない。自立など出来はしない。
己を知らないこの社会は、ますます無防備、無節操に、テレビ、雑誌、インターネットによって、放恣堕落への道を転がっていくだろう。
それでも私たちは生きて行かねばならない。家族が空中分解し、個人がバラバラになっていくことから、身を守らなければならない。とどのつまり、個人に出来ることは、家族において人間の絆を深めていくことしかないのではないか。その絆の中で、失われつつある誇りや自己評価を確認していくことだ。教育も、収入も、自由も、すべてを手に入れたかのよう菜女性たち。彼らが、自己責任で自分の人生をひきうけるとき、はじめて真に輝き始めるのだ。
(日本の危機 櫻井よしこ P318)