2001/05/05 (土)
育児の荒廃を防ぐために
ヨーロッパで200年、500年単位で育った文明が日本ではたかだか3,40年に濃縮された結果、育児も母性も荒廃の極みに近づきつつあるというのだ。では、打つ手はなにか。明らかに無理な現状をまず変えることだ。母性は天与のものとの思い込みの下で育児を母親にのみ任せている現状を変えることだ。母性を「育てる」必要性を男性も、社会も、認識すべきである。
かつて子育てはコミュニティ全体で担っていた。大家族があり、隣近所があった。家庭が生産工場であり、家庭そのものが社会とつながっていた。その中での子育てだった。
江戸時代の育児書は父親向けに書かれていたのだ。それ以前に、山上憶良もうたっている。瓜を食べては子供のことを思い出すと。父親による子育ては日本の文化の中にあったのだ。
だが、現実は、環境のみが激しく変化し、子育ての責任が一手に母親に負わされた。
(日本の危機 櫻井よしこ P201)