2001/05/05 (土)
母性愛は女性に備わった本能ではない。
エリザベート・バダンテール
母性愛は女性に備わった本能ではなく、近代が生み出した産物に過ぎないと説いたのは、フランスの心理学者のエリザベート・バダンテールだ。
世界的なベストセラーになった『母性という神話』の中でバダンテールはいう。
「子供は母性的な配慮と世話無しには生存も成長も出来ないのは明らかだとしても、すべての母親が、子供の必要としている愛情を与えるようあらかじめ決められているかどうかは明らかではない。
子供の要求と母親の反応の間には、あらかじめ確立された調和や必然的な相互作用などまったく存在していないように思われる。そこには形而上的な病、人間の不幸の本質的原因のひとつがある。」
母性は本能ではなく、時代の価値観によって影響され、移ろっていくものだ、人間は母性を天与されているのではなく学び取っていくものだ、と喝破した彼女の著書は、激しい賛否両論を巻き起こした。
(日本の危機 櫻井よしこ P192)