Group:=terra 建築
Title:=●材料開発の望ましい方向性とその矛盾
From :=WorkPad 版 Palm Desktop
Create:=00/08/26 10:08
Udate :=00/08/26 10:08
●材料開発の望ましい方向性とその矛盾
AICA EYES VOL31 1999SUMMER
さて今世紀前半で40億トンの金属が生産されたと推定されているが、1980年代の10年間で生産量は58億トンに増加している。それを裏付けるように途上国の経済成長に伴う資源消費の伸びも急速である。自然を保全するためにはリサイクルをしなければならないが、表[製造・リサイクルにおける環境負荷.xls]のように、製造段階ばかりでなくリサイクル段階でも大量のエネルギーを必要とし、CO2、NOX、SOXを大気中に放出してしまうのである。
それだはどのように材料開発を行えばよいのであろうか。一般に製品(材料)の価値はライフサイクル全体におけるコスト(C)、環境影響(I)と性能あるいはサービス(P)で決定される。
コスト、環境影響、性能はすべてさまざまな側面を持つため、実際に定量的に評価するときには重み付けで総和をとる必要がある。結局製品(あるいは材料)の総合価値はP/CIで決まる。
したがってエコデザインとは、Pを増加させながら、CとIを減少させることである。Iを減少させるためには、物質集約度の小さな素材を使用すること、製造段階での環境負荷のより少ないプロセスの採用、再生材の利用、特に再生可能材料の有効利用、長寿命化、毒性物質の代替化、生分解性材料の使用等など様々な環境影響項目について全体として環境影響がより小さくなるような設計・生産をしなければならない。
しかし現実には、様々な矛盾が存在することも確かである。コストと性能の矛盾、環境影響と性能の矛盾、コストと環境の矛盾などである。これらの矛盾を具体的に解決して行くためには、エコデザインを継続的に実施するにあたっての明確な指針、原則が必要である。幸いスウェーデンの環境NGOであるナチュラルステップは、下のような持続可能性実現のための4つのシステム条件を抽出している。
1、生物圏の中で、近くから掘り出した物質の濃度を増やしつづけてはならない。
2.生物圏の中で、人工的に製造した物質の濃度を増やしつづけてはならない。
3、自然の生産性や多様性の物理的基礎を破壊してはならない。
4、人類の基本的な欲求を満たすための資源の利用は、公平で効率的でなければならない。