Group:=terra 刃を研ぐ
Title:=39,専門分化
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Create:=00/07/22 19:39
Udate :=00/07/22 19:39
39,専門分化,1997/9/3 0:00:00,種の消滅はいきすぎた専門分化の結果である。
(バックミンスタラー・フラー 宇宙船「地球号」操縦マニュアル)
われわれは、馬をどんどん速く走らせて、スペシャリストとして育てることができる。そのためには、二匹の速い馬をつがわせて、同系交配をする。ある種の遺伝子を集中させることで、その優秀性が現われる確率は増加する。しかし、そうすることによって一般的な適応性は、退化するか、犠牲にされてしまう。同系交配と専門分化は、常に一般的な適応性を殺してしまうのだ。
宇宙におけるエネルギーには主要なパターンがあって、宇宙のどんな場所でも、
地震などのようなたいへん大がかりな事件の起こる度数は、小規模のエネルギーの変動の度数に比べると、はるかに少ないというパターンである。地球上では、昆虫の生まれる回数は地震よりもはるかに多いのである。しかし、全体を通じて展開してゆく変動のパターンの動きを見ていると、無数の低エネルギーの変動のただなかに、ときどき大がかりなエネルギーの変動が起こるときがあって、その変動があまりに破壊的な場合には、超専門分化した生物は、一般的な適応性がないために、死滅してしまうのである。実際に起こった典型的な例をひとつあげよう。海にすむ小動物の特殊な種類を食べて生きていたある種の鳥の話である。
この鳥は、飛び回っているうちに、その特殊な海生物がとりわけ集まり安い場所がいくつかあることに気がついた。決まった土地の決まった海岸に接した大沼地などである。そこで問題の海生物を偶然見つけるために当てもなく飛び回る代わりに、その鳥たちは、餌の集まっている入り江近くの沼地に移った。やがて、地球の極地の氷塊が増加し始めたために、沼地の水が退き始めた。沼地の穴に深く口をつっこんで海生物をとることができたのは、長い長いくちばしを持った鳥だけだった。短い嘴の短い鳥は死に絶えた。このために、長い嘴を持った鳥だけが生き残ったのである。鳥の生来の生殖本能が起きたとき、つがう相手には、ほかの長い嘴の持ち主しかいなかったので、その結果、長い嘴の遺伝子が強まっていった。水は絶えず後退し続け、鳥は幾世代にもわたって同系交配を繰り返したので、ますます嘴の長い鳥が生まれた。水はさらに後退をやめず、その鳥の嘴は世代を重ねる事に大きくなっていった。長い嘴の持ち主たちが繁栄をつかめたとみえたとき、突然、沼地で大火事が起きた。ところが、この鳥は嘴が余りに大きくなっていたために、もはや飛ぶことができないことがわかったのである。鳥たちは沼地を飛び去って火を逃れることができなかった。逃げるには余りに遅く、足でよたよた歩きをするばかりで、この鳥は死滅してしまった。これは、専門分化の過剰のために消滅の起こる典型的な過程である。
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ここで、このような専門分化の過剰のために起こる死滅というものを阻止する方法がないかどうかを考えてみよう。専門分化などはじめからしなければいいのだという論理も成り立つが、その問題については別の展開にゆずるとして、上の例にしたがって、どのポイントが死滅へのターニングポイントであったか、そしてそれを裂けるためにはどうすればよかったかを考えてみたい。,96/3/11,,,,,,,,自分学