Group:=terra 建築
Title:=バウビオロギー(建築生物学)
From :=TextClipper
Create:=00/08/31 21:55
Udate :=00/08/31 22:03
バウビオロギーと環境ホルモン、化学物質過敏症
1962年にレイチェル・カーソンが世界で初めて環境汚染を「沈黙の春」の出版で警告してから36年たち、また、数限りある資源の宇宙船地球号と言われてから久しいですが、現在もまだまだ環境破壊や汚染がすすんでいます。二酸化炭素や代替フロンの放出で地球が温暖化し、海面の上昇、異常気象、洪水、砂漠化なの問題がおきています。また、フロンガスなどの放出によりオゾン層の破壊がすすみ、ひとを含む動植物が強い紫外線を受け、変調をきたしています。他に大気汚染、酸性雨、廃棄物の増大、環境ホルモン、科学物質過敏症、ダイオキシンなどと地球規模や身の回りの環境問題がおきています。
合成化学物質の影響
中毒、アレルギー、毒性の新しい概念の化学物質過敏症と環境ホルモン
農薬、サッカリン、着色剤、保存剤などの合成化学物質に無知で無防備であった私たち戦後第一世代から生まれた子供がアレルギーのアトピーや喘息は無理もなく思われます。この世代の時代には工場からの極度の排煙、廃液などの合成化学物質やその他の環境汚染から水俣病、四日市や川崎などの喘息や、薬害中毒のイタイイタイ病、サリドマイド、スモン病、カネミ油症など多発してました。
合成化学物質によって引き起こされる症状には量によって、環境ホルモンや化学物質過敏症だけでなく、中毒症状、アレルギー症状があります。中毒は1000分の1(ミリグラム)レベルの化学物質が引き起こします。アレルギーは体の中に好ましくない細菌や化学物質が入ってきたとき、免疫反応が過剰に起きてしまう症候群であり、100万分の1グラム(ppm)レベルの化学物質で引き起こされます。環境ホルモンや化学物質過敏症は十億分の1グラム(ppb)から1兆分の1(ppt)などの極めて微量で体を蝕んでいます。合成化学物質は環境ホルモンや化学物質過敏症として、「ひと」の情報伝達や情報処理を撹乱し、遺伝子、神経、ホルモン、酵素、免疫機能を阻害してしまいます。
化学物質過敏症と住宅
住宅でも三十数年前のレイチェル・カーソンの時代から新建材やアルミサッシががどんどん使われはじめ、新築時にはツンとした鼻にささる臭いがし、眼もチカチカしていました。こうした様を何の疑問もなくあたりまえだと思っていました。しかし4年ほど前から許されなくなってきました。テレビ、新聞、週刊誌、本などにかなりの頻度で化学物質過敏症として取り上げられ、人々は衝撃を受けました。
10年ほど前には公衆衛生学な黴やダニによる喘息やアトピーがショッキングに報道され一挙に住宅からカーペットがなくなり床が木質フロアーになりました。それ以来の衝撃度で環境臨床医学な、新建材からでてくるホルムアルデヒドなどの極微量の化学物質に「ひと」が過度に異常に反応し、頭痛やめまいや微熱などをともなった慢性疲労症候群がおこり健康を害します。化学物質の量が多くなるとアレルギー、それより多くなると中毒になります。
今までの空気汚染の基準は中毒に対応したものだから、極微量な過敏症には全く当てはまりません。過敏症の症状で身近なのは、新築時に窓を開けて換気していないと、目がチカチカすることです。さらに過敏な人は刺激痛がともない涙が止まりません。もっと過敏な人は室内には居られません。今まではこの現象は新築時に当たり前に起こり、刺激がなくなるまでの時間が解消してくれるものだとされていました。これまでの伝統的な医学ではこうした害が重用しされていませんでしたが、最近では公衆衛生学の他に新しい分野の臨床環境医学の進歩により、化学物質過敏症として研究され人体への害が問われ、研究されております。科学物質が極々微量であっても、人体のホルモン機能や免疫機能が影響を受け、誤作動し、微妙なバランスが崩れてしまい、体の変調をきたします。室内環境だけではなく衣・食・住の全体が連鎖しての現象ですが、住宅生産領域でも考えざる得なくなっております。
室内・外でホルムアルデヒド、有機リンなど多数の合成化学物質が含まれ害があるものは、とんでもなく毒性が強い防腐・防虫・防蟻剤が入っている防腐・防蟻土台、白蟻駆除剤、木材保護塗料、ビニールクロスの可塑剤・難燃剤・防黴剤、抗菌剤、カーテンの防炎剤、畳の防虫加工紙、防虫家具。接着剤では合板やエンジニアリングウッドのホルムアルデヒドやビニールクロスの接着剤。塗料の有機溶剤。衣類の防虫剤と防虫家具、トイレの芳香剤。他に塩化ビニール、発泡系の断熱材。合成科学物質だけではなく、電磁波過敏症もあります。テレビなどの家電や蛍光灯からも強い電磁波が発生するし電気配線からも発生しております。
環境ホルモン
昨年の秋に「奪われし未来」が発売されてから、合成化学物質は化学物質過敏症、アレルギー、中毒ばかりではなく、環境ホルモンとして生物のホルモン機能を撹乱し、オスのメス化や人間の精子が半減している生命の衰退の危険性が問われています。意訳して言えば、化学物質過敏症は具体的な個人個人の個別な問題、環境ホルモンは人類の存続に関わる全体的な問題であります。身近な問題として、新聞、週刊誌、テレビなどを賑わしています。日本近海の巻き貝のメスにペニスが付いている、アメリカのフロリダの湖のワニのペニスが小さくなっている、イギリスのコイの精巣が細くなっているなど、子宮内膜症や線ガンの増加、オスのメス化、メスのオス化などの生殖器や生殖機能の衰退や異常に合成化学物質によってこのような現象が引き起こされ、こうした悪さをする合成化学物質を内分泌撹乱物質=環境ホルモンと呼ばれています。
「環境ホルモン」の名称は昨年からで、その以前は内分泌撹乱物質と呼ばれていました。内分泌撹乱物質は生物学者、化学者、医学者などが、それぞれの専門分野で研究者が独自に研究し、相互の情報交換が少なく総合的に研究されていなかった時代の専門用語でした。それが、昨年秋に翻訳出版されたアメリカの女性生物学者シーア・コルボーン博士他2人の著作の科学ドキュメンタリー「奪われし未来」は、個別に研究されていたのを相互に関連づけ内分泌撹乱物質=環境ホルモンが生殖器や生殖機能の衰退や異常をもたらすことの全体像を初めてあきらかにし、一般の人々にも分かり易く説かれています。この本以降、研究者も共同研究がすすんでいます。この時期から一般の人々にもイメージされやすい名称の「環境ホルモン」が多用されています。
それを受けて同年の11月21日にNHKスペシャルの「生殖異変、しのびよる環境ホルモン汚染」のオスのメス化や人間の精子が半減している内容を映像で紹介しています。。化学物質のカタカナ名が氾濫している分厚い本はなかなか読めないものだが、テレビのショッキングな映像は誰でもが引き込まれ、影響力はおおきい。それからNHKや民放でかなりの頻度で番組化されています。今年の2月にはイギリスのジャーナリストのデボラ・キャドバリーがまとめた「環境ホルモンの恐怖 自然のメス化」が翻訳出版され、4月にはガイダンス的な綿貫礼子共著の「環境ホルモンとは何か」が遅まきながら出版されました。さらに、「奪われし未来」「環境ホルモンの恐怖メス化する自然」に登場してくる多数の優れた科学者が、最近では、環境ホルモンに関したテレビの特番に映像として登場し益々身近な問題として迫ってきています。
農薬の合成化学物質の環境汚染による人体や生物にガンや形態異常などの被害が明らかにされたのは、36年も前の女性生物学者レイチェル・カーソンの著作「沈黙の春」でした。「沈黙の春」は合成殺虫剤が招く危険性を警告しています。PCB、DDTなどの残留合成化学物質が自然界を汚染していき、それが人体の脂肪や母乳に蓄積されていき、性発達障害や行動及び生殖異常を検証しています。こうした汚染は母胎にいる時からはじまり、汚染が蓄積された母乳でさらに汚染されていきます。また、合成殺虫剤は毒を体から守る機能を果たしている酵素を破壊し肉体のエネルギー源である酸化のはたらきを阻害します。その他にいろいろな器官をいためつけ、きずついた細胞はゆっくりと変質し、やがて悪性の腫瘍にむしばまれていきます。この時代の被害は眼に見えるものでした。
現在、環境ホルモンとして問われているのは一億分の1グラムや1兆分の1グラムという極々微量の合成化学物質が、本来のホルモンと似ていて、ホルモンによる生態機能が誤作動・撹乱されることです。一億分の1グラムや1兆分の1グラムというのはプールに目薬が1滴ほどの極めて微量な量です。母胎の子宮内で男性になるべく胎児が、男性機能分化時に女性ホルモンのエストロゲンに似た合成化学物質に被爆すると、体内停留精巣などが起ったり後に線ガンの比率が高くなります。女性では必要以上のエストロゲンに似た合成化学物質に被爆すると子宮内膜症などの確率が高くなっております。生物や人体は各種のホルモンが必要な時期に必要な量だけ働き、微妙な生態や成長が保たれるのですが、環境ホルモンが撹乱してしまうのです。
環境ホルモンが入っているものはポリカボーネードの哺乳ビンや食器、カップ麺の発泡スチロール容器、塩化ビニール(食品用ラップ、ペットボトル)の製品、殺虫剤などがあり、ダイオキシンも環境ホルモンの一種です。
環境ホルモンと住宅
私たちは居住空間の内外で微量な合成化学物質の環境ホルモンに身近に常時被爆しております。化学物質過敏症と同様に、室内・外でホルムアルデヒド、有機リンなど多数の合成化学物質が含まれ害があるものは、とんでもなく毒性が強い防腐・防虫・防蟻剤が入っている防腐・防蟻土台、白蟻駆除剤、木材保護塗料、ビニールクロスの可塑剤・難燃剤・防黴剤、抗菌剤、カーテンの防炎剤、畳の防虫加工紙、防虫家具。接着剤では合板やエンジニアリングウッドのホルムアルデヒドやビニールクロスの接着剤。塗料の有機溶剤。衣類の防虫剤と防虫家具、トイレの芳香剤。他に塩化ビニール、発泡系の断熱材などがあげられます。
バウビオロギー建築(建築生物学)とエコロジー建築
自然素材が見直されてきているのは、テレビに最近良くでてくる、新建材からでてくるホルマリンなどの害による化学物質過敏症を考えてのことです。今までは「エコロジー、エコロジー」と言われても家を作る人は我関せずでありました。エコロジー建築は環境共生建築と訳されております。地域や地球の環境共生と言われても、本人には直接関係なく、お金がかかることはいやだということです。それが最近、エコロジーに関連したバウビオロギーという言葉がでてきました。直訳的に建築生物学ということです。バウビオロギーは日本ではまだまだ聞き慣れない言葉ですが、ドイツ語のBaubiologieを直接カタカナで表したものです。
意訳すると、エコロジーは地球全体や地域との環境共生ですが、バウビオロギーはエコロジーの中で家屋を中心とした室内・外環境の狭い範囲に絞られています。もっと端的に言うと、エコロジーは地球に負荷をかけない、バウビオロギーは人(本人と家族)に負荷をかけないことになります。これなら家を持つ人も良く解ります。環境ホルモンや化学物質過敏症などに配慮された考え方です。
健康で快適な住環境をつくるには、合成化学物質が含まれていないものや、より少ない材料を使用していかなければなりません。こうした素材を以下に記述します。
1.自然素材の使用
木、珪藻土塗り壁、漆喰塗り壁、プラスター塗り壁、自然系塗料、コルク畳、
ゼオライト、炭化発泡コルク断熱材、発泡ガラス断熱材、低ホルマリン合板、
和紙、布クロス、天然リノリウム
2.健康障害建材の未使用
ビニールクロス、新建材、合板、防蟻・防虫・防腐処理、防虫処理畳、接着剤、
塗料、抗菌・防カビ・防炎・難燃処理
3.健康に悪影響な化学物質の抑制
ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物、農薬を主体とした防蟻・防虫・防腐剤、ラドン、
塩ビ、プラスチック、フロン、特定フロン、アスベスト
4.床下環境が良好な住宅
・白アリによる食害予防、木材腐食防止
床下の乾燥 防湿シート・防湿コンクリート(基礎外側断熱) 、断熱・気密型開閉
床下換気口
・防蟻法 自然系防蟻・防腐剤の使用